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ある時はリカオン、この間はハイエナ、先だってはタスマニアンデビルにたとえられるほど、どん欲で食いしん坊の私でも、年に一、二度は食欲が落ちる事がある。
「鉄の胃袋も疲れ気味なのかなあ」などと思いながらも、何か食ってやろう、という気力だけは絶対に落ちない。
そんな時、ある一つの漬け物を焼いて食べると、あっという間に食欲が回復、ご飯が胃袋にすっ飛んで入っていく。「へしこ漬け」がそれだ。
「へしこ」とは「圧し込み漬け」から来たのだろうが、サバ、イワシ、ニシン、フグなどを糠漬けしたもので主に北陸の産物だ。相当古くから食べられてきた保存食品で、野菜の糠漬けと同じ感覚で漬けておき、食べたい時に焼いて食べるといった、家々で伝承されてきた発酵食品である。今では大都市の鮮魚店やデパート、スーパーマーケットなどでも売っているから重宝だ。


こいずみたけお/
東京農業大学教授(醸造学・食文化論)。鹿児島大学客員教授、NHK国際放送番組審議会委員などを務める。『食と日本人の知恵』(岩波書店)など単著90冊